研究概要 |
本年度の目的は、任意数の組合せのDNAモチーフを予測するアルゴリズムとその実装ツールの開発であり、今期、これを達成した。アルゴリズムの特徴として、1.従来任意数拡張の際の困難であった計算時間を、遺伝的アルゴリズムを導入することによって解決、2.従来曖昧だったモチーフ、モジュール(モチーフの組合せ単位)の表現法を区別し、モジュール・モチーフ表現を導入、3.これに伴い、従来のモチーフ・スコアリング法をモジュール・モチーフ表現に対応したスコアリング法に拡張、4.さらに従来の研究にはない、モジュール内局所的相互作用を表すスコアリング法を開発、5.従来多くの研究では発現、発現無しの1,0値をベースにDNAモチーフを予測していたが、より情報を活用できる、発現量を表す実数値をもって予測する方法を採用、である。ツールの特徴としては、1.コンピュータに詳しくなくても扱えるグラフィカルなウェブツール、2.最適なモチーフの組合せをツールがどのように探索しているのかをリアルタイムで表示する、ビジュアライゼイション・システム、3.コンピュータの電源を落としても再度計算を続行できる計算継続システム、である。特に後者二点は従来のツールに見られない新しい特徴である。 開発されたウェブツールはhttp://emu.src.riken.jp/combinatorにおいて、インターネットを通じて世界中に公開されており、誰でも無償で利用できる。また本研究成果は米国コールド・スプリング・ハーバー研究所において行われた国際学会、System Biology Meetingにおいて発表された。
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