研究概要 |
ビセライド類は,沖縄産ホヤより単離・構造決定されたマクロライドである.パネルスクリーニングの結果より,ビゼライドAおよびBは制がん剤のシスプラチン以上の腫瘍細胞増殖阻害活性を示す一方で,生物に対する毒性をほとんど示さないことから新しいタイプの制がん剤のリード化合物として期待されている.そこでビセライドBの全合成を行うことにした.また,構造活性相関研究の一環として,ビセライド類の類縁体であり,強力な腫瘍細胞増殖阻害活性を示すハテルマライドNAの合成研究も行うことにした. 18年度IC前年度に確立した方法にてビセライド類・ハテルマライド類に共通する中間体の大量合成を行い,この中間体からビセライドB,EおよびハテルマライドNAの合成研究を行った. ビセライドEに関してはStilleカップリングを基盤として全炭素骨格の構築に成功した.現在残り2つの保護基の脱保護を検討している.全合成達成後は詳細な生物活性試験に供する.ハテルマライドNAは前年度低収率だったマクロラクトン化反応の改善に成功し,以前の経路より飛躍的に効率的な方法を確立し形式全合成を達成した.現在,生物活性試験用の大量合成を行っている.この化合物も活性が強力なので構造活性相関を検討する.ビセライドBに関しては課題であるC20位に水酸基導入の目途が立ったので,残るC1-C3位ユニットの導入を検討した.現在のところ効率的な手法は確立できていな.これに成功すれば,残りはハテルマライドNAと同様の手法により全合成を達成できると考えられるので来年度早急に解決する.
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