研究課題
骨芽細胞から産生される破骨細胞分化誘導因子(ODF/Rankl)は、破骨細胞の活性化に必須な因子であり、この異常亢進は骨粗鬆症などの骨疾患に関わる。ODFはビタミンDなどの刺激により発現誘導されるが、その制御機構の詳細は明らかとなっていない。私は、ODFの発現制御機構の解析を行っており、この制御に転写因子NF-Yが重要な働きをする事を明らかにしてきた。本研究では、NF-Yを介したODFの発現制御機構について解析するとともに、ODFの発現に効果を示す薬剤を探索してその作用機構を解析する事により、新たな骨粗鬆症薬の開発に繋げる事を目的としている。(NF-Yを介した転写制御機構の解析)ビタミンD刺激下におけるODF遺伝子上の転写因子群をクロマチン免疫沈降法により解析した。この結果、NF-Yは刺激に関わらず常にODF遺伝子上に存在し、RNAポリメラーゼIIやTBPなどの基本転写に関わる因子がNF-Yに依存してODF遺伝子上に集積する事が明らかとなった。これに対して、ビタミンDレセプター(VDR)はビタミンD刺激に応じてp300などのコアクチベーターをODF遺伝子上にリクルートして転写活性化する事が分かった。これは、ODFの発現がNF-YとVDRによって二つのステップを経て制御を受けている事が示唆される。現在NF-Yに相互作用する因子の同定などを通してより詳細な解析を行っている。(ODF発現に効果を示す薬剤の解析)これまでに骨粗鬆症に効果がある薬剤に関してODF発現に対する効果を検討し、いくつかの薬剤がODFの発現を顕著に抑制する事が明らかとした。しかしこれらの薬剤はNF-YやVDRには直接作用せず、未知の制御機構に作用して効果を示す事が示唆された。現在、ODF遺伝子上の薬剤に応答する領域を検討するとともに、アフィニティ微粒子を用いて薬剤標的因子の探索を行っている所である。
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Genes to Cells (In printing)
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