BSEいわゆる狂牛病はヒトに感染する。感染したヒトでは新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症する。この種を越えて感染する疾患はプリオン病と呼ばれ、社会的にも食の不安を誘発している。その感染因子は、正常型プリオンタンパク質(PrP^c)が高次構造変換した異常型プリオンタンパク質(PrP^<Sc>)と考えられている。しかし、PrP^cの本来の機能が不明であるために、プリオン病の発症プロセスが明確でない。本申請課題の目的は、Prp^cの本来の機能が運動神経におけるシグナル伝達に関与している補助受容体であること、相互作用領域がPrP^cのN末端領域であることを証明することである。プリオンタンパク質のN末端領域と運動神経に関与する候補分子の相互作用について、FRET法やそれを応用したαスクリーニング法などの分子間相互作用解析法を用いて、その動力学的パラメーターを明確にする。 両分子の相互作用の定量性を示すことは、両分子の特異的な相互作用の証明に繋がる。また、相互作用した分子複合体について、X線結晶構造解析法を用いて複合体構造を原子レベルで明確にする。複合体の結晶構造が明らかになれば、その相互作用部位が特定できる 本年度は、昨年度に構築したPrP-BFPとp42-GFPについて精製法の確立を行った。得られた両タンパク質を用いて、蛍光エネルギー移動法で相互作用を解析した結果、両タンパク質に融合されたBFPとGFPが34Å以内に近接することが分かった。今後は、この方法を用いて、本タンパク質問の相互作用解析について詳細に調べる予定である。
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