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2006 年度 実績報告書

汽水生沈水植物の保全を目的とした遺伝的集団構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 17710194
研究機関独立行政法人国立科学博物館

研究代表者

田中 法生  独立行政法人国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究員 (10311143)

キーワード汽水生植物 / カワツルモ / 染色体 / イトクズモ / 葉緑体DNA
研究概要

本研究は、汽水生沈水植物の日本国内における遺伝的集団構造とその成立要因を明らかにするために、国内での分布状況を調査し分類学的再検討を行った上で、新たに開発したDNAマーカーを用いて集団遺伝学的解析を行おうとするものである。カワツルモ科カワツルモ(Ruppia maritima L.;Ruppiaceae)は汽水域に生育する多年生の沈水植物で、カモ類などの渡り性水鳥にその種子が捕食されることや、その排泄物中の種子が発芽することが多数報告されていること、また日本国内において、それら渡り性水鳥の渡り経路とカワツルモの分布域が重なっていることから、水生植物の広域分布と隔離された集団特性を明らかにする上で適した植物である。しかし、外部形態の変異が大きく識別形質に乏しいことから分類学的に十分整理されておらず、その自生状況も明らかでなかった。そこでまず、日本国内における自生状況の把握、分類学的な再検討を行うことにした。
18年度は、カワツルモの染色体数および葉緑体DNA塩基配列情報を調査した。その結果、佐渡のネジリカワツルモが2n=20、熊本・小笠原父島・沖縄本島・久米島のカワツルモが2n=40、石垣島・中国・海南島のカワツルモが2n=20であることが明らかとなった。このうち、ネジリカワツルモの2n=20、カワツルモの2n=20はアジアからの初記録となり、2n=40のカワツルモは、三重・愛媛・広島・韓国蔚山以外のものとなった。
分子系統解析から、大きく2つのグループを認識でき、一方のグループにはさらに2つのサブグループを認識することが出来た。外部形態形質を評価すると、一方はネジリカワツルモに、他方はカワツルモに当たると考えられ、さらに後者に認められた台湾、香港などからなる一方のサブグループは、変種R.maritima var.pacifica Fosberg & St.Johnと考えられた。
さらに、イトクズモZannichellia palustrisについて、国内の生育状況を調査した。
標本調査により、世界各地のRuppiaおよびZannichelliaの分布と変異を調査した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Genetic diversity of an endangered aquatic plant, Potamogeton lucens subspecies sinicus2007

    • 著者名/発表者名
      Koichi Uehara, Norio Tanaka, Arata Momohara, Zhe-Kun Zhou
    • 雑誌名

      Aquatic Botany 85

      ページ: 350-354

  • [雑誌論文] Inferring the origin of Potamogeton x inbaensis using nuclear and chloroplast DNA sequences2007

    • 著者名/発表者名
      Yu Ito, Norio Tanaka, Koichi Uehara
    • 雑誌名

      Journal of Japanese Botany 82

      ページ: 20-28

  • [雑誌論文] Distribution and new localities of Zannichellia palustris L. (Zannichelliaceae) in Japan2006

    • 著者名/発表者名
      Norio Tanaka, Yu Ito, Koichi Uehara
    • 雑誌名

      Annals of Tsukuba Botanical Garden 25

      ページ: 1-6

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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