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2007 年度 実績報告書

観光事業の側面から捉えた「音楽都市ウィーン」の生成に関する文化史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17710196
研究機関横浜国立大学

研究代表者

小宮 正安  横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (80396548)

キーワード文化史 / 観光学 / 都市論 / 芸術諸学 / 社会学
研究概要

本研究では、数あるヨーロッパの都市の中でなぜウィーンのみに「音楽都市」というイメージが具わり現代に至っているのかというテーマについて、観光事業を切り口として文化史的にアプローチした。とりわけ研究の最終年度にあたる今年度は、包括として次の4点を明らかにした。
・ ハプスブルク帝国は、統一ドイツの覇権を巡ってプロイセンと熾烈な競争を展開し、その際「ドイツ芸術の護り手」として自らの優位を広く知らしめるため、ドイツ美学の中でもとりわけ重んじられていた音楽に着目し、首都ウィーンを「音楽都市」としてアピールした。
・ この流れがオーストリア共和国にも受け継がれた。共和国は、国のアイデンティティを確保し、観光立国として繁栄させるために、「音楽都市ウィーン」のイメージを広め、数多くの観光客を誘致することを必須の課題とした。
・ 特に第二次世界大戦以降、共和国が自治権を取り戻し、中立国として再出発するに及び、「音楽」による平和的文化交流の場として「音楽都市ウィーン」のイメージがクローズアップされるようになった。さらに1960年代以降における観光産業の隆盛により、「音楽都市ウィーン」のイメージはさらに強固なものとなった。
・ ただしマス・トゥーリズムヘの迎合一辺倒ではなく、利便性に富んだ資料館や図書館を作ったり、音楽をテーマにした企画展を開催したりと、専門家や音楽愛好家のニーズにも応える幅広い政策が、官民の協力によっておこなわれている。これは我が国の文化事業にとっても、重要な示唆となる状況に他ならない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ヴェネツィアの向こう側 ワーグナーとその周辺2007

    • 著者名/発表者名
      小宮正安
    • 雑誌名

      年刊ワーグナー・フォーラム2007

      ページ: 88-102

    • 査読あり
  • [雑誌論文] チェコvsドイツの彼方ヘ ウオーンのドヴォルザークとその周辺2007

    • 著者名/発表者名
      小宮正安
    • 雑誌名

      フィルハーモニー 79

      ページ: 16-22

    • 査読あり
  • [雑誌論文] スッペとフロトーのオペラ2007

    • 著者名/発表者名
      小宮正安
    • 雑誌名

      日本経済新聞(朝刊) 10月28日

      ページ: 32

    • 査読あり
  • [図書] 愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎2007

    • 著者名/発表者名
      小宮正安
    • 総ページ数
      222
    • 出版者
      集英社

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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