本研究の目的は、日米の性暴力に対する取り組みを、とくに暴力主体である男性に焦点をあてて調査し明らかにることによって性暴力に関する心理的・社会的メカニズムを分析し、日本の実情にあった実践的なプログラムを作成することである。また、欧米のマスキュリニティ研究を女性との関係において研究・理解することによって、日本における男性問題研究の進展を図ることである。本年度は、アメリカ社会学会に参加し、アメリカにおいてどのような取り組みが行なわれているのか実践的なケースについて学び、また女性や男性と暴力をめぐる関係について、理論的なレビューを知ることによって、知見を深めることにした。またニューヨークのNPO団体「デイワン」の取り組みについてインタビューをおこない、アメリカにおける性暴力についての取り組みについて、調査をした。 また、日本におけるジェンダー論の取り組みについて、近代家族のありかたと関連付けて理論的に考察するため族社会学の野においてのジェンダー論について考察し、家族社会学の現在」という論文にまとめた。これは、セックス・ジェンダー・セクシュアリティの近代的な配置が、いかに近代家族という装置に収斂していくのかを検討することによって、近代の男性のおかれている主体的位置について、理論的に検討したものである。 さらに今後は、研究会などを行い、理論的視野を広げ、実際の取り組みについて調査を行っていく予定である。
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