本研究は、日本の外部・内部労働市場の変遷とともにみられる労働条件の性別間格差・性差別に対し、これらを是正するために日本の労働組合が取り組んだ雇用平等政策・運動について分析するものである。 研究2年目となる平成18年度は、本研究対象であるナショナルセンター(日本労働組合総評議会、日本労働組合総連合会)の一次資料の調査と収集を引き続きおこない、その資料(各種議事録、報告書などの資料)分析を進展させた。その分析過程では、考察すべき論点を明らかにし、元・現役の労働組合関係者のインタビューを実施した。特に、2006年春に男女雇用機会均等法の改正が行われ、これに関わった労働組合をはじめとする様々なレベルでの議論から知見を深めることができたことは、本研究の分析軸の構築にとても役立った。そして、国際的労働運動の動向と国内の運動との関連については、文書資料の読みはもちろんのこと、ジェンダー平等政策に関する海外調査を実施し、政策の背景やその後の取組について知ることができた。この調査成果を通じて、日本の労働運動にどのような課題がなげかけられているのかという論点を、最終年度の検討項目の一つとして、取り上げることができた。 なお、国内外での調査や改正男女雇用機会均等法の議論への参加では、労働運動を中心とする関係者各位の理解と協力により、可能となったことを記す。
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