研究概要 |
本研究の目的は,子ども期における「身体」のジェンダー化の諸側面を,社会的・文化的文脈との関連で実証的に明らかにすることである。研究2年目にあたる本年度の研究実績は次のとおりである。 第一に,幼児保護者を対象とした質問紙調査を行なった。その結果,保護者たちが「ジェンダーの二分法」に関する意識が強いほど,子どもに対してはジェンダーを意識したしつけを行い,教育期待をしている傾向があることが明らかになった。 第二に,幼児を対象としたインタビュー調査を行なった。保護者の承諾を得た園児67名を対象に,服装・遊び・玩具・色彩・キャラクターについて好みとジェンダーへの適切性に関する評価を尋ねた。回答を大まかに分析した結果,「女の子はスカートをはく」「サッカーは男のすること」「車のおもちゃは男の子に好まれる」などという評価をした子どもの割合が高い。このことから,子どもたちは,二分法的なジェンダーに関する観念を有し,それにもとづいて事物を解釈していることが推測される。ただし,色彩の好みについて従来の「男の色=青/女の色=赤・ピンク」といった価値を必ずしも持たない子どもがいるなど,子ども文化におけるジェンダーと諸事物との関連づけは,大人が考えているよりも多様であることが推測される。 第三に,保育士・幼稚園教師を対象に補足的インタビューを行った。前年度に実施した園での観察調査で得られた映像,および園児へのインタビュー映像の一部を見せながら,補足説明や解釈をしてもらうかたちで進めた。 最終年度では,保育士・教師へのインタビューについて詳細な分析を行う。また,子どもの身体をめぐる意識構造について,質問紙およびインタビュー調査を行なう。必要に応じて,保育士・幼稚園教師への補足的インタビューを実施したい。
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