研究概要 |
1 本研究は、支えあう市民社会システムとして慈善ボランティア活動と宗教団体の慈善活動を取り上げ、活動参加者の宗教性と利他精神の発達要因の国際的比較研究(日本、イギリス、アメリカ、フランス)を通して、市民社会におけるボランティア・利他的精神の発達における宗教の役割をそのプロセスを含めて探究する。制度・コミュニティ・個人の観点から包括的にアプローチすることによって、ボランティア・利他的精神の発達における宗教の役割に関してそれぞれの文化や環境による特徴を明らかにすることが本研究の目的である。 2 初年度の平成17年度は、利他主義・ボランティア・社会貢献活動に関する理論的検討や仮説の構成、調査の枠組みの構成、事前調査、そして、それらに関連して文献や資料の収集と整理に時間を費やした。 (1)学会発表 アメリカの宗教社会学会で、発表し、アメリカの研究者と意見交換を行った。 ・Keishin Inaba, "Altruism and Faith-Based Services in Japan", The 67th Association for the Sociology of Religion Annual Conference in Philadelphia, 15 August 2005. (2)ボランティア活動、社会貢献活動、利他的行動を分析するために、関連組織として、社会貢献net、社団法人企業メセナ協議会、社会貢献支援財団などを訪問し、意見交換を行った。 (3)Visions of Charityの著者であるAllahyari博士、南メソジスト大学のHabito教授などと、地域毎にことなる宗教と利他主義の実践について、意見交換を行った。 3 本年度の知見と次年度の研究 本年度の理論研究、研究者との意見交換により、利他主義の意味・構造、社会貢献活動を支援する制度やシステムの相違が国毎に顕著にみられた。実態調査により、さらに詳しく分析をすすめる。
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