18年度の研究は、日本仏教団体の国際協力活動における外国の仏教団体および現地のNPO・NGOとの交流ということに焦点を当てていた。そしてこうした国際協力活動を通じて日本仏教による現地での「拠点」つくりについても考察を行った。 そのために、インド、タイそしてバングラデシュにて日本仏教の国際協力について調査を行った。8月と9月にはインドとバングラデシュで日本仏教団体による教育、医療そして開発の分野における支援事業を見学し、関係者に聞き取り調査を行った。インドのブッダガヤでは「日本仏教保育協会」が現地の貧困家庭の子供のための保育園「菩提樹学園」を運営しており、アジアの子供たちのために「生命尊重募金」を行っている。また、「国際仏教興隆協会」がブッダガヤで印度山日本寺を建設し、その境内に現地の人々のために無料診療所「光明奉施寮院」を設立している。この研究調査の結果は「感化事業、社会福祉、海外支援活動--仏教感化救済会系教団にみられる近代仏教福祉の発展過程--」(『日本仏教社会福祉学会年報』第37号、2006年9月。)に報告されている。 バングラデシュで小数派である仏教者・僧侶らと協力、人権運動への支援、仏教文化の保護活動を行っている。ここでは、仏教系NPO・NGOおよび仏教僧侶による慈善事業への金銭的・人事的支援を行っている。 タイでは、昨年に続いて本年も日本の仏教団体による大都市のスラムそして都外で行われる社会改善運動、開発事業について調査を行った。特に現地の仏教団体との協力に注目し、日本仏教団体の関与が現地の仏教徒の社会運動に与えた影響について調査を行った。
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