今年度は、昨年度にひきつづいて、主に炭鉱における労働組合運動・サークル運動についての調査・研究を行った。 九州については中間市・水巻町・大牟田市・荒尾市を、北海道については美唄市・歌志内市・赤平市・夕張市を訪れて(いずれも旧産炭地)、資料を収集・閲覧すると共に、元炭鉱労働者から1950年代から60年代前半にかけての労働運動・サークル運動の状況について聞き取り調査を行った(資料の閲覧に関しては、北海道道立図書館、国立国会図書館、大原社会問題研究所なども利用した)。今年度は、様々なジャンルの運動のうち、当時もっとも影響力の大きかったうたごえ運動に関する研究にも着手した。とりわけ、三井三池争議の際にうたごえ運動が果たした役割ついて現地における聞き取り調査を実施したことは、サークル運動の全貌を明らかにする上で欠くことのできない大きな収穫となった。 また今年度は、炭鉱におけるサークル運動について、産別組合である炭労が果たした役割とサークル間のネットワーク形成という観点を中心に成果をまとめた(前半のみ『国語国文研究』に掲載、後半部は次号に掲載される予定である)。また現在、各炭鉱で発行されていた文学サークル誌を用いて、炭鉱の文学サークル運動を概観する研究論文に取り組んでおり、近く成果を公表したいと考えている。
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