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2007 年度 実績報告書

<皇国史観>を中心とする国体イデオロギー研究を通じた、戦時期思想史像の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 17720014
研究機関東北大学

研究代表者

昆野 伸幸  東北大学, 大学院・文学研究科, 専門研究員 (00374869)

キーワード皇国史観 / 国体論 / 文部省
研究概要

これまでの研究において、分析概念としての〈皇国史観〉と、昭和18年前後から文部省周辺で使われだした資料用語としての「皇国史観」は区別されてこなかった。この点を踏まえ、研究の最終年度に当たって、なぜこの頃に「皇国史観」の語がクローズアップされたのか、またその具体的意味内容はいかなるものだったのかについて検討することを通じて、〈皇国史観〉概念の捉え直しを企図した。
文部省における「皇国史観」の公認イデオローグといえる教学局教学官小沼洋夫は、もともとマルクス主義の立場から出発した。転向を経ての彼の「皇国史観」論は、国体論の混乱が続く時代の中で、『国体め本義』『国史概説』と結びつき、『国体の本義』を超えて独り歩きする多様な歴史観、国体論に対抗しようとした。当時は同じ「皇国史観」の語を用いながらも、『国体の本義』には批判的な立場から独自の活動を展開したグループ(吉田三郎、伏見猛彌ら国民精神文化研究所の若手所員)が存在し、「皇国史観」の相剋ともいうべき事態が生じていた。結局、吉田らの「皇国史観」解釈は小沼ら文部省主流派によって排除され、「皇国史観」解釈の一元化が進んだものの、平泉澄とその門弟は「皇国史観」に反対し、以て歴史観・国体論の対立は解消できないまま敗戦を迎えた。以上のような「皇国史観」の相剋を踏まえることは、〈皇国史観〉が雑多な思想の寄せ集めではなく、明確な対立軸を内在させた諸思想のダイナミックな展開を示す概念であると捉え直す手がかりになりうるだろう。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 「皇国史観」考2007

    • 著者名/発表者名
      昆野 伸幸
    • 雑誌名

      年報 日本現代史 12

      ページ: 27-60

  • [学会発表] 片山杜秀著『近代日本の右翼思想』2008

    • 著者名/発表者名
      昆野 伸幸
    • 学会等名
      日本現代思想史研究会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2008-03-22
  • [学会発表] 総力戦下における文部省の教化政策2008

    • 著者名/発表者名
      昆野 伸幸
    • 学会等名
      ヨーロッパ文化史オープン・リサーチ・センター開催フォーラム
    • 発表場所
      東北学院大学
    • 年月日
      2008-02-23
  • [学会発表] 動員される神々-戦時期における神典論争2007

    • 著者名/発表者名
      昆野 伸幸
    • 学会等名
      仙台近現代史研究会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2007-05-31

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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