研究概要 |
初年度は、[1]海外調査、[2]国内調査、[3]調査作品画像の学内公開、[4]国際美術展図録、関連文献の収集、[5]まとめ、を実施計画とした。 各実績は、[1]マニフェスタ財団調査(6/8)、第51回ヴェネツィア・ビエンナーレ調査(6/9-17)、[2]第3回福岡アジア美術トリエンナーレ2005調査(9/16-18)、横浜トリエンナーレ2005調査(9/27-29)、[3]ヴェネツィア展約1,280枚、福岡展約270枚、横浜展約570枚の画像の学内公開、[4]国際美術展図録等約80冊、関連文献約140件の収集、[5]論文「国際美術展図録の史料性」(28,000字)1件、展覧会レヴュー記事3件の執筆、である。 各国際美術展の調査では、作品および会場風景について、デジタルカメラによる三脚を使用した撮影を行った。また、ヴィデオ作品、パフォーマンス、レセプション挨拶、シンポジウム、ギャラリー・トーク等については、デジタルヴィデオカメラを用いた映像記録を行った。 国際美術展図録の収集と並行して、国内の主要美術図書室の所蔵状況も調査した(東京国立近代美術館、東京都立現代美術館、国立国際美術館、CCA北九州)。また、国際美術展の開催状況調査では約50件をリスト化、公式サイト38件を確認した。 グローバリゼーション時代の国際美術展の動向を把握するため、可能な限り現地調査を行うが、全体動向の把握には図録による補完作業が不可欠である。「国際美術展図録の史料性」では、そうした研究方法の基礎づけを行ったほか、キュレイターの作品としての展覧会というあり方が転換期にあることに着目した。こうしたキュレイター像の先駆者と位置づけられるハラルド・ゼーマンは、2005年2月に没した。追悼記事、インタヴュー記事、ゼーマン自身のカタログ論文を収集するとともに、大学院ゼミ生たちの協力を得て4件を翻訳、年度内には訳文の見直しを終えた。4月には小冊子として刊行の予定である。 その他の成果として、「国際美術展とグローバリゼーション」の題目で、九州藝術学会での口頭発表(7/2)、および同学会誌への論文投稿(20,000字)、花王芸術・科学財団芸術文化助成の報告書(全106頁)の刊行(12/27)を行った。
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