第2年目である平成18度は、前年度に引き続き、以下のような作品調査及び関連作品調査と文献資料からのデータ収集及びそれに基づいたデータベース作成、関連作品の資料収集を行った。 1)京都・泉涌寺悲田院阿弥陀如来立像(逆手阿弥陀)2躯の調査を行った。いずれも請来図像に基づいての日本での制作になる作例と考えられるものである。逆手阿弥陀立像(小)では、X線透過撮影により、両足首先が別材製で像底より差し込む技法によるものであることがより明瞭になった。また、逆手阿弥陀立像(小)は、その顔の正面観が意外に慶派風のそれであり、京都における慶派の活動などを考える上でも重要な作例と考えられ、重要性の再認識に繋がった。 2)上記の調査に関連して、京都・泉涌寺仏殿三世仏の調査を行った。泉涌寺創建期の伽藍構想を如実に反映し歴史的価値の高いこれらの三躯の像は、江戸時代の再興像である可能性が高く、これまで本格的な調査が行われてこなかった。今回の調査では構造が判明しなかったので結論を出していないが、次年度の調査において制作年代等を明らかにし、基礎的な論考を加えたい。 3)『仏祖統紀』中心に、中国宋代の仏教関連事項を抽出し、データベースを作成した。
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