本年度は昨年度に引き続いて、滋賀県・福井県・石川見・富山県の公立図書館、及び、藩校の後身にあたる学校、並びに、国立国会図書館を中心に、藩校の蔵書目録の所在調査を実施した。その結果、滋賀県では大溝藩脩身堂の蔵書目録、『脩身堂蔵書録』『脩身堂襍録』の2点が高島市在住の横田三千太郎氏宅に所蔵されていることが確認できた。この2点については、所蔵者である横田家のご都合もあり、本年度は論文にして公刊することができなかったが、次年度において公刊する予定である。また、石川県では金沢市立玉川図書館に、金沢藩明倫堂の蔵書目録4点が所蔵されていることが確認できた.その4点とは稼堂文庫蔵『明倫堂御蔵書目録』、大島文庫蔵『明倫堂御書総目』、藤本文庫蔵『明倫堂御書物目録』、加越能文庫蔵『陸原之淳留記』第1冊収録「明倫堂御書総目」である。また、同館大島文庫には医学館の蔵書目録である『医学館書目』がある。これら金沢藩藩校の蔵書目録については、「金沢藩明倫堂の蔵書目録」と題する論文として発表した。金沢藩明倫堂の蔵書目録は従来は加誠能文庫蔵の『陸原之涼留記』第1冊収録『明倫堂御書総目』1点しか知られていなかったので、今回の調査で4点の蔵書目録が発見されたことは大きな成果であった。また、福井県では、前年度に調査を実施した勝山藩成器堂と鯖江藩進徳館の旧蔵本の蔵書目録を作成し、それぞれ、「勝山藩成器堂の蔵書」「鯖江藩進徳館の蔵書」として論文を公刊した。こちらは藩校の蔵書目録そのものは見出せなかったが、その旧蔵本の蔵書目録が作成できたことで藩校の蔵書の様子をおおよそ把握することができた。
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