本年度は研究の最終年度にあたるので、まず未調査であった近江国修身堂の蔵書目録の研究を実施した。その結果、『修身堂蔵書録』と『修身堂襍録』の2点の目録を発見、『国文学論叢』53号に報告することができた。このうちの後者は今回の調査で初めて明らかになったものである。 2つ目に福井藩藩校の蔵書目録に掲載された朝鮮本・琉球版について、麗澤大学教授の藤本幸夫先生からご教示を得て、「福井藩藩校の蔵書目録の韓書・琉書」と題する論文を発表した。これまで藩校の文庫に朝鮮が所蔵されていることは広く知られていたが、福井藩のそれはその蔵書数からみて格段のものである。藩校の蔵書を朝鮮本という通路から見た論文は、これが初めてのはずである。 3つ目にこれまで3年間の調査でも判明しなかった藩校、近江では水口藩翼輪堂、西大路藩日新館、若狭の小浜藩順造館、越前の大野藩明倫堂、府中藩立教館、丸岡藩平章館、越中の富山藩広徳館について、現在までに判明したことを、『書籍文化史』第9号に発表した。その後、情報を公開することで、諸先生方からのご教示をえることができた。 最後に、2007年12月8日に、これまでの研究成果を日本図書館文化史研究会で「藩校の蔵書目録の研究-滋賀・福井・石川・富山を対象に-」と題して研究発表を行った。現在は、その発表後に寄せられたご意見を踏まえて、論文にする作業を行っている。
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