本科学研究費補助金支給初年度の平成17年度は、米国南部から中西部の大学への調査研究旅行、二度の口頭研究発表、及びその成果の米国での出版計画などの成果を示すことが出来た。 米国への調査旅行においては、ミズーリ州立大学カンザスシティ校、同コロンビア校、及び、カンザス州立大学ローレンス校等の女性学〔ジェンダー学〕研究科等を訪れ、主任教授と面会をするなどし、米国の大学における現在のジェンダー研究が抱える問題点等を話し合うことが出来た。先端をゆくと思われる米国大学のそれぞれの研究機関において、ジェンダー研究が「男性」に対して閉鎖的であると明確であったことが、男性学が歩む今後の様々な可能性について示唆に富む有益な取材となった。 研究成果の発表として、第44回日本アメリカ文学会全国大会シンポジウム(『男を演じる:アメリカ文学における「男らしさ」の系譜』コーディネータ:北海道大学大学院 瀬名波栄潤助教授)を含む二度の研究口頭発表を行った。特に全国大会シンポジアムは大きな関心を持って迎えられた。この成果は、現在、米国で書籍として出版する計画が進行中である。これは今回のシンポジウムメンバーが中心となり、日米の研究者計20名ほどが寄稿し、アメリカの文学史を再び「男性」の視点から再構築しようという野心的、かつ画期的な試みとなる予定である。来年度は、この出版を含め、研究成果を他に2本の論文で発表する予定であり、現在鋭意執筆中である。
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