平成18年度の主な研究実績は、中世ヘブライ文学およびその他の言語の文学における、マカーマートやそれに関連したジャンルの文学についてのこれまでの研究成果を、海外の研究者に対して情報発信を行ったことである。具体的には、マカーマートを含む中世ヘブライ文学のテキストにおいてしばしば用いられている、ギリシャ語、アラビア語、ペルシャ語、ラテン語、シリア語といった外来語の使用についての研究成果を発表した。このような研究は、他の文学の影響を常に受けながら存在してきた、マイノリティとしてのヘブライ文学のあり方を考える上で、重要である。7月の第3週目においては、オランダ・フローニンゲン大学を訪れ、中東言語文化学科主任教授のWout van Bekkum教授と共同研究を行った。7月の第4週目においては、ロシア・モスクワで開かれたEuropean Association for Jewish Studiesの第8回世界大会に参加し、上記の研究成果について口頭発表を行った。ユダヤ学を専門とする世界各国からの参加者より、貴重なコメントをもらうことができた。8月の第4週目においては、アメリカ合衆国・ボストンのハーヴァード大学で開かれたMedieval Hebrew Poetry Colloquiumの第4回世界大会に参加し、口頭発表を行った。中世ヘブライ文学の専門家が一堂に会するこのワークショップにおいても、貴重なコメントをもらうことができた。
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