最終年度の平成19年度は、研究代表者が竹富町波照間島、宮古島市宮古島に赴いて聞き取り調査を行なって島言葉のデータを収集するとともに、これまでの調査のまとめを行なった。波照間島では、地元で継承されている琉球狂言について、これまで漢字かな交じりで正確な読みが分からずに表記されていたテキストを地元話者の協力のもと、音声記号とカナ表記、それに今までは付いていなかった標準語訳を付け、学術雑誌に掲載した。そのうちの幾つかの語彙については注釈を施して、八重山諸方言における波照間方言の特徴を示した。さらに、波照間方言については、地元話者に録音していただいたことわざの学術的な資料化をこころみている。宮古島方言では、宮古島出身である話者の協力を得て、昔話のテキストの翻訳していただいた。それらをテープに録音していただき、研究代表者が音声記号とカナ表記を施し、語彙の解説などを行なった。それに加えて、研究代表者が撮影した昔話に所縁のある場所の写真を添付した。宮古方言では、そのほか、旧城辺町皆福方言の語彙調査を行ない、宮古方言で研究上の焦点となっている発音について、具体的な単語や最小的に対立する語彙などを観察・録音し、テキストに採用されるべき表記の考察を行なった。これら以外にも、すでに撮影していた那覇市首里方言による民話語りの映像について、漢字かな交じり表記、音韻記号、標準語訳が入った字幕を付けて編集し、それらをDVDに焼き付けてテキスト資料を作成した。
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