研究概要 |
1.本研究では3つの目的を掲げた。第1に「現代朝鮮語の会話データの収集とデータベース化」,第2に「朝鮮語の文末形態の分類と談話機能を担う文末形態の分類」,第3に「「情報」と「記憶」という観点から文末形態の機能をどの程度,説明が可能であるかを考察」することである。この3つの目的のうち,本年度は第1の目的として掲げた「現代朝鮮語の会話データの収集とデータベース化」を中心に韓国語母語話者の協力を得て,幼児の韓国語会話のテープ起こし作業を行った。 また引き続き,韓国のドラマ・映画のシナリオをテキストファイル化する作業を進めている。 2.研究対象である文末形態のうち「話し手の意志」を表す終結語尾‘-lkey',‘-llay'の用法の違いを会話資料に基づき考察した。‘-lkey'は話し手がこれから行おうとする行為について「聞き手に受け入れられる」と話し手が判断した場合に使用されるのに対し,‘-llay'は相手の提案や勧誘に同意せず自分の意志を述べる場合に使用される傾向が見られ,‘-llay'を伴って表される話し手の行為が「聞き手に同調されにくい」と判断される場合に使用されることを示した。この観察は,日本言語学会第130回大会(国際基督教大学)で発表した。 また,韓国において文末形態に関する文献を収集すると同時に,話し言葉でしか用いられない文末形態の1つである‘-ketun'について考察を進め,論文を執筆中である。
|