本年度は昨年度に引き続き関係詞節の先行詞が定の場合(以下、「定関係詞節」)と先行詞が不定の場合(以下、「不定関係詞節」)の意味的特性について考察した。 次のように定関係詞節には不定関係詞節と相補的になるものがある。 (1){The/^*A} speaker who gave the third presentation was by far the most persuasive. このことをふまえると次の(a)と(b)の定関係詞節は扱いを変えなければならないと思われる。 (2)a. This is{the/^*a} house that I was born in. b.This is{the/a} book that I bought yesterday. すなわち、(2a)は関係詞節の内容が先行詞として定名詞を要求するものであり、(2b)はそのような要求をしないものである。 また、(1)や(2a)のパタンとは逆に不定関係詞節しか許されない例もある。 (4)a.Shibuya is {a/^*the} place that young people like. b.Can you recommend fa/^*the} good restaurant that serves steak? これらの不定関係詞節も(2b)の不定関係詞節とは区別される必要があると思われる。(4)の不定冠詞は「〜のうちの一つ」という「部分解釈」を受けるのに対して、(2b)の不定冠詞は「部分解釈」だけでなく、「一つ(だけ)の」という解釈も可能だからである。 以上から「吹き出し」・「はみ出し」はどちらも少なくとも2つ以上に下位区分される関係詞節をとらえようとしていることになる。
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