運用力につながる文法記述のあり方を探るため、「非断定」の表現(ハズダ、カモシレナイ、ニチガイナイ、ダロウ、ジャナイカ)を中心に、(1)実際の言語資料における非断定表現の構文機能の実態調査と、(2)日本語教師および目本語学習者による非断定表現の使用意識調査を、本年度の研究の2本の柱とした。 (1)構文機能の実態調査 シナリオ集および新聞記事コーパス、国研話し言葉コーパス等を中心に、実例を収集、分析し、各表現め使用を支える文脈条件と機能を具体的に記述、現在、それぞれの表現についてリスト化を進めている。 (2)使用意識の実態調査 ハズダを用いた表現を題材に、日本人学生120名、日本語学習者300名(韓国人学習者90名、中国人学習者50名、ベトナム人学習者90名、その他70名)に対して、A)一文作成 B)会話作成 C)作文の3種のタスクを課した質問紙調査を行った。そして、特色のある回答をした日本語学習者に対しては、なぜそこでハズダを用いたのかという問いを中心にフォローアップインタビューを行い、ハズダという表現の使用意識を観察した。 また、日本、韓国、ベトナムの3カ国において、実際に日本語教育に携わっている教師に対して、上記のアンケートに加え、ハズダという表現を実際にどのように導入しているか、また、具体的な学生の誤用文に対しどのような説明を加えるか、そして、現在、様々な非断定表現を教えるにあたりどういった問題を抱えているか等についても質問紙調査を行い、必要に応じて、フォローアップインタビューを行った。 現在、(1)(2)についての調査結果をリスト化し、分析を進めているところである。
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