2006年8月16日〜8月30日及び9月4日〜25日の期間、トルコ・イスタンブルに出張し、調査を行った。イスタンブル・ムフティー局文書館及び総理府オスマン文書館において、オスマン帝国の文書史料を調査・収集した。とくに、イエメンやリビアなどにおける司法組織に関する公文書について大きな収穫をえた。ベヤズット国立図書館、スレイマニエ図書館、イスラム研究センター図書館、イスタンブル大学附属貴重書図書館では、本研究課題にかかわる刊行資料、研究支献の調査・複写を行った。とくに、法令集、アラブ地域の州年鑑、アラブ地域に関する同時代のオスマン語刊行物の収集ができたことに大きな成果があった。また、9月19日に科学芸術財団のトルコ研究センターにおいて、「末期オスマン帝国のカーディー制度」という題目で講演(トルコ語)を行い、現地の若手研究者と意見交換した。 2006年8月30日から9月4日にかけてマケドニアのスコピエ及びテトヴォに出張した。スコピエでは国立歴史研究アカデミーを訪問し、アカデミーと国立文書館の出版物を収集したほか、アカデミーのオスマン史研究者と意見交換を行った。テトヴォでは、市の文書館を訪問し、郷土史研究者と交流を深めたほか、モスク、神秘主義教団の修道場、墓地、民家などのオスマン時代の史跡の見学を行った。 そのほか、本研究をさらに深化させるための基礎的作業として、論文「西アジア・北アフリカ(近現代)」において2004年の日本における中東研究を批判的に検討し、共著書所収「日露戦争とイエメン」では、オスマン帝国のイエメン支配を近代日本との比較の中で考察することを試みた。 以上の調査、収集等を踏まえ、来年度開催される第6回アジア中東学会連合大会及び第2回中東学会世界大会で報告するために、オスマン帝国末期の中央-辺境関係の事例研究となる報告要旨及び報告原稿(英語)を執筆した。
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