本年度は主に、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、テキサス医療センター図書館、米核実験文書館、ワシントンDCの米科学アカデミー文書館、米国国立公文書館から資料収集した。またニューヨークのブルックヘーヴン研究所を訪れ、1954年のビキニ水爆被災によって被曝したマーシャル諸島の人々への調査に携わった科学者に、収集した調査資料の所在に関してインタビューを行った。 日本国内での調査では、収集した資料と証言を、その他の国による核実験による被災者との証言と比較検討し、被曝の実相をより具体的に明らかにしようとした。収集した資料を物理学者である『広島・長崎原爆被害の実相』(新日本出版社)の編著者である沢田昭二名古屋大学名誉教授から助言を受け、京都大学原子炉研究所の今中哲二氏からはチェルノブイリ原発事故による被曝状況についての助言を受けた。科研費での調査は高橋博子・竹峰誠一郎責任編集『市民講座 いまに問う ヒバクシャと戦後補償』(凱風者、2006年)に反映されている。 広島を訪問したマーシャル諸島のヒバクシャやネヴァダ大学ラスベガス校のネヴァダ核実験場オーラル・ヒストリー・プロジェグトのメアリー・パレフスキーディレクターと今後の調査協力について話し合った。 11月に開催された日本平和学会では、広島県被爆者相談所の渡辺力人所長と舟橋喜恵広島大学名誉教授に被爆者団体協議会50周年にあたって、広島・長崎の被爆問題と世界のヒバクシャとのつながりについて話していただいた。また中国新聞の森田裕美記者に、被爆問題の報道に携わってきた立場から討論していただいた。 今年度は資料調査のみならず、世界のさまざまなヒバク問題に携わる識者から、大いに助言を受けた。
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