1.東洋文庫に所蔵されている梅原考古資料について、刊行されている目録をもとに、検索・複写を行った。今年度は、1930〜1940年代に行われた楽浪古墳発掘調査資料のうち、とくに資料が豊富な〓室墓関係の図面・写真類を収集した。その結果、最も資料数が多い道済里50号墳、南井里53号墳、将進里45号墳について、主要資料の収集がほぼ終了し、調査内容の全容を明らかにすることができた。その他の資料については、来年度継続して収集を行う予定である。 2.収集した図面・写真・記録資料について、その内容・資料相互の関連性を検討した上で、データベース化を行い、詳細な楽浪古墳のデータベースを作成することができた。データベースは基本台帳をMicrosoft Access2003で作成し、図面・写真類についてはスキャナーで取り込みデジタル化した上で、図面カードを作成した。 3.これら新たに入手した資料と、戦前の報告資料、戦後、朝鮮民主主義人民共和国における発掘資料をもとに、楽浪〓室墓の編年研究を行った。その結果、最も築造数の多い単室〓室墓を5型式に分類・編年し、それぞれの実年代を推定することができた。また、その他の〓室墓や石室墓との併行関係を検討し、2世紀〜4世紀における楽浪古墳の詳細な編年体系を構築することができた。さらに、〓室墓と同時期に並存していた〓併用木槨墓、石材天井〓室墓、横穴式石室墓など関連墓制との相互関係を明らかにすることができ、楽浪・帯方郡末期〜滅亡後における郡県の状況を把握することができた。これらの成果については、2005年10月に韓国で開催された第33回韓国上古史学会で発表することができ、韓国の考古学界における本研究の位置づけを確認することができた。
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