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本年における研究は、主に1.初期須恵器地名表の作成・出土状況の分析、2.初期須恵器の資料調査・分析、3.自然科学的分析の3点から進めた。
1では、主に西日本地域の初期須恵器地名表を作成した。しかし、近年の須恵器出土データが大幅に増加しており、網羅できていなかった地域があり、各地域の研究支援者に協力を要請し、来年度、データ追加を実施する予定である。
2では、初期須恵器の受容検討のモデルケースとして、道後平野と宇和盆地を取り上げ、両地域との比較という形で、主に瀬戸内海沿岸地域を中心として、須恵器の資料調査や須恵器出土遺跡の現地踏査を重ねながら、須恵器受容形態の分析・検討を行った。その結果、地域に特徴的な受容形態、地域を越えて共通して見られる受容形態が存在することが明らかにできた。
3では、伊予市市場南組窯の現地分析ならびに出土須恵器の考古学的分析を踏まえて、胎土分析を実施した。胎土分析では、窯出土資料との比較として消費地資料の須恵器についても分析を実施し、考古学的分析と化学的分析との両視点から、産地資料の特徴の解明、消費地資料の産地同定のモデル研究を行った。分析の結果、対象とする地域や資料数を増やすことにより、研究の有効性がより高まるとの見通しを得ることができた。
以上、1〜3の各研究の成果から、須恵器の受容形態には、各地域における地理・歴史的な事情や渡来人の存在が大きく関わっていることが予見され、次年度以降、当該視点から研究を推進していく予定である。
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