本研究は日本出土の朝鮮半島系土器や朝鮮半島出土の日本系土器を基にして、異文化受容のあり方を明らかにすることを目的とする。本年度は両地域の基本情報を収集した上で、搬入状況や土器の製作技法の採用のあり方を明らかにするための資料調査を進めた。 国内調査は計6回(のべ7日)実施し、岡山や天理などでの新資料についての情報収集や、東京大学での楽浪土器の調査に加え、北部九州の弥生時代後期から古墳時代前期の在来土器を調査し、朝鮮半島南部の酸化焔焼成の土器と比較することに備えた。 韓国での調査は1回(6日間)行い、全羅南道および慶尚道出土資料を調査した。国立中央博物館所蔵の固城貝塚出土資料の調査では、酸化焔調整の高杯の調査を行い、北部九州のものときわめて技法が似ているものを確認した。これについては調査資料の数がまだ少ないので、来年度以降も継続して調査を続ける予定である。また、嶺南大学校博物館では造永洞遺跡(慶尚北道慶山市)で出土した北部九州からの搬入土器(甕)の調査も行った。これについての調査成果は執筆を終えていて、2007年5月以降に発表される予定である。 研究成果の発表については論文2本と、発掘調査報告書で課題研究に係る内容を1本、シンポジウムで1本、学会発表で1本行った。学会発表では日本出土の朝鮮半島系土器の故地について検討し、交流形態の変遷について論じた。
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