研究概要 |
本研究の目的は,東京大都市圏を事例として,就業形態の多様化に伴う在宅勤務の拡大動向を把握し,こうした新しい就業形態が大都市圏の地域構造にどのような影響をもたらすのかを検討することである. 平成17年度(研究初年度)は,大きく3つの作業をおこない,次のような成果が得られた. 第1は,在宅勤務に関する最近の研究動向を整理した.文献研究によると,在宅勤務に関する研究は,経営学的アプローチが多く,オフィス立地論の視点から検討された研究は,管見の限りきわめて少ない.具体的には,主にテレコミュニケーションをいかに活用して新しいビジネスモデルを構築していくのかという,SOHO(Small office Home office)の起業論は盛んである一方で,在宅勤務をはじめとする就業形態の多様化が,大都市圏の物的な構造にいかに関与しているのかという立地論は,議論の俎上にのせられてこなかったといえる. 第2は,在宅勤務者の全国的な動向を把握するために,既存の基礎データを収集した.その結果,在宅勤務者の全国的な分布が把握できる既存の基礎データはほとんど整備されておらず,本研究で独自に調査する必要性が再認識された.なお,これまで収集したデータは主に,国勢調査報告非収録データや企業・事業所統計非収録データ,(財)日本テレワーク協会の独自調査資料等である. 第3は,平成18年度(研究2年目)に実施する地理情報システム(GIS)を活用した空間分析に向けて,収集した基礎データをエクセルに入力する作業をおこなった.
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