研究概要 |
本研究は、日米の土地利用制限約款の機能を比較することを目的としており、第1年度である本年は、日本の建築協定区域の費用便益分析と、米国の文献資料収集に予算を費消した。 ただし、当初申請額が減額されたこと、また、研究代表者の所属先が申請時から変化したことなどのため、調査方法及び調査対象区域に若干の変化を加えた。 すなわち、日本の建築協定区域の調査方法について、郵送調査を利用するCVM(仮想市場法)ではなく、ヘドニック・アプローチによる調査に変更した。また、地価データの総量の関係から、調査対象地区を、横浜市・大阪市ではなく、東京都世田谷区に変更した。ヘドニック・アプローチとは、地価を被説明変数とし、地価に影響を与える諸要素を説明変数として、地価関数を推定する手法であり、今回はこの手法によって建築協定の地価に対する影響を測定することになる。 地価データおよびその分析に関しては、清水千弘・麗澤大学国際経済学部助教授、谷下雅義・中央大学理工学部助教授の助言を受けた。 また、地価データについては、清水助教授から、世田谷区内の戸建住宅売買情報(約19,000件)その他の研究用データの貸与を受けた。現在、建築協定の許可が地価に影響を与えているかどうか、ダミー変数を設定して付加的データを入力する作業を継続中であり、本年3月末には一応の入力・分析が終了する予定である。もし、建築協定ダミーに関して有意な結果が得られれば、続いて協定の詳細な規定内容について分析を深める予定である。 他方、米国内の土地利用制限約款については、判例その他の文献収集が中心となった。
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