インド全州のうち、最終的に18州のパンチャーヤト法(農村部地方自治法)を収集することができた。これは、全27州のうちの三分の二に当たるが、州の中にはパンチャーヤト法を制定していない州もあるため、実際にはパンチャーヤト法を施行している州のほとんどについて州法を収集することができたことになる。3年間の研究計画のうち、主に当初2カ年を資料の収集に充て、最終年度には主に分析を行った。 収集したパンチャーヤト法については、とくに村レベルのパンチャーヤトに焦点を当て、その規定の差異について検討を行った。これは、州による違いがもっとも大きいのが村レベルのパンチャーヤトに関する規定であること、また、県や郡レベルのパンチャーヤトについては、各州法における村レベルのパンチャーヤトに関する規定を準用しているものが多いところから、村パンチャーヤトに関する規定に注目したものである。 収集したパンチャーヤト法のデータを整理し、これを用いて研究シンポジウムや国際学会において報告を行い、その結果をもとにワーキングペーパーや論文を執筆することができた。村レベルのパンチャーヤトに焦点を当てて、その法的裏づけについて検討を行ったものは決して多くなく、また、インド現地でも少数の研究所がパンチャーヤト制度の法的側面について行っている状態であることは、当該研究補助申請時からほとんど変わっていない。ただし、パンチャーヤトに関わる訴訟の現状などについて、徐々に研究が進められはじめているため、今回の研究はそうした今後の研究の基礎資料を提供するものとなったと考えられる。
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