各国の養子制度は、その成立および効力においてさまざまであるが、国際的には主に未成年の子が国際養子縁組の対象となっている。子の本国と養親の本国が異なる場合に、国際養子縁組についていずれの国の法が適用されるかが問題となる。これは、養子縁組に関する各国の実質法の相違から生じるものである。 韓国では、2005年民法の改正により、未成年の子を対象とする完全養子縁組制度が導入された。従来の養子縁組制度は未成年に限るものではなく、いわゆる契約型・非断絶型である反面、今回導入された親養子制度は、いわゆる決定型・断絶型である。養子縁組法制に関する韓国の実質法の改正によって、韓国国際私法における準拠法がかならずしも改正される必要があるのではないが、この改正をきっかけに、養子縁組分野において従来十分に議論されていないいくつかの問題を考察した。すなわち親養子制度の導入によって国際私法へどのような影響があるのかの観点から、縁組の成立および効力準拠法、国際裁判管轄、外国養子決定の承認問題などについて取り組んだ。 子が出身国を離れ、養親の本国に行く場合が多いため、国際養子縁組における手続的側面が重要な役割をはたす。このような側面から成立し、発効している1993年国際養子縁組条約の特別委員会の近況、および勧告を検討したうえ、同条約の発効にともなって国内法が整備されているフランスおよびドイツの法状況を分析した。さらに、韓国の場合、国際養子となる者は主にアメリカに行くので、アメリカおよび他の養子出身国における同条約への取り組みについても検討した。
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