研究概要 |
日本の国際私法の基本法である法例は、明治31年(法律第10号)に制定されて以来,平成元年(法律第27号)に婚姻及び親子に関する規定を中心に一部改正された。しかし財産法分野をはじめ、その他の規定についての改正は行われなかった。法例制定後、約100年間、日本をめぐる社会経済情勢が多様化・複雑化・国際化されており、1980年代後半からヨーロッパを中心に国際私法に関する法整備がなされた。最近の立法傾向を把握するため、オランダへの研究調査を行った このような内外情勢を背景に、国際的な法発展の調和の観点から国際私法の現代化の必要性が台頭され、法例が全面改正された。2006年6月15日に成立した「法の適用に関する通則法」(平成18年法律第78号)は、法例中の財産法分野の準拠法決定に関する実質改正である。法律行為、特に契約、不法行為、債権譲渡などに関する分野が大きく改正され、家族法分野を含む法例のすべての規定について現代語化がなされた。法適用通則法の内容、そして日本の国際私法立法の残された課題について検討した。 また、法適用通則法と関連して、2001年に改正された韓国国際私法規定の法制度との間で、従来、問題であると指摘された事案について、今回の立法によって解決された分野を比較法的観点から法制の調和を考察した。このため、韓国の研究調査を行った。 なお、各国の養子縁組法制度に関する実質法および国際私法についての資料整理を引き続き行っている。
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