1.実地調査の遂行 (1)全国中央会の監査部門をヒアリング調査した。中央会監査は、株式会社における会計士監査の機能を担うものと法律上位置づけられているため、外見的独立性についても会計士監査と遜色のない程度で要求される。しかしながら独立性は十分でないといわざるをえない。監査主体について、--監査部門は定款自治により中央会理事会から一定程度独立しているといえるが--監査主体が法律上唯一であることもあり、中央会理事の出身母体である組合をも、中央会が監査せざるをえない状況にあるのは、その一証左である。 (2)被監査組合 2組合で種々の役職者をヒアリング調査したが、1つの傾向ないし結論を導き出すことは不可能である。中央会監査を含む監査や行政検査について、私たちの素朴な感情から考えても想像に難くなく、マスコミでもいわれているように「できることなら監査を受けたくない。物言わぬ監査人が望ましい」という意見もあった反面、「利害関係者から信頼されるには、監査によってお墨付きが与えられていることは不可欠であり、監査を前向きに捉えている」という意見もあった。 2.ヨーロッパの状況に関する文献調査 近年ヨーロッパ連合における法規整の調和や超国家法の成立がより盛んになり、その動向は看過しえない。協同組合についても、超国家的に活動できるヨーロッパ協同組合(SCE)について規整するヨーロッパ協同組合法規則が2003年成立した。同規則では、本店所在地国の国内協同組合法に規整を委ねている事項も数多くあり、外部監査についても然りである。 わが中央会監査の源流であるドイツ国内法上の協同組合中央会監査に関する近時の改正についての本格的な調査は、平成18年度に行う予定である。
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