課題「保証人保護に関する法制度の研究:フランス法との比較を中心に」に対しては、現在、以下のように研究は進行中である。 【1 資料・情報の収集】 平成17(2005)年度は、まず、フランス民法に関する基本的な教科書を多数収集した。また、2005年に倒産法(フランス商法典第6章)が改正されたため、これに関する文献も収集している途中である。 2006年3月26日オルドナンスにより、フランス民法典が改正され、担保に関する編が新設されることとなった(第四編)。本研究の中心的課題である保証に関しては、規定の位置が変更されるにとどまり大改正はないようであるが、しかし、類似の担保である独立担保(garantie autonome)、支援状(letter d' intention)に関する規定が民法典上、新たに設けられたことは注目に値する。 【2 分析・論文作成】 平成16(2004)年度後期に、「フランス倒産法における保証人の法的地位(1)〜(3・完)」彦根論叢351号(2004年11月)139〜157頁、352号(2005年1月)81〜100頁、353号(2005年3月)121〜141頁を公表した。 なお、平成18年度分の研究成果となるが、「留学生の住居賃貸借の保証と大学の責任」と題する論文を近く公表する予定である(彦根論叢360号(2006年5月)。本稿は、留学生が住居の賃貸借契約を締結する際に必要となる保証人について、法人としての大学が保証人となるケースが増えているが、大学は、法人であるとはいえ保証を業とする機関ではなく、無償で保証を行うものであるから、個人保証と同様、賃借人である留学生を密接な関係を保たなければ、大学による保証は適正に機能しないと論じたものである。 【3 研究成果と収集資料のデータベース化】 研究途中でもあり、データベース化はまだ実施していない。
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