まず、日本における株主提案権の行使動向について実態的な調査を実施するとともに、日本企業の定款を多数入手し、定款に関する企業の考え方について、ヒアリングを行った。定款については、企業規模毎に多少の相違が見られるものの、多くの定款は、極めて類似しており、近時の会社法の施行により、どのような独自の定款が出てくるかは、継続して観察する予定である。 また、二月に、米国における株主提案権の実態的な調査を実施した。米国企業の定款・付属定款を多数入手し、分析した結果、ポイズン・ピル等の企業買収に対する対抗措置について、詳細に付属定款に各種の要件を記載するケースが見られた。これらの付属定款を変更する旨の株主提案が可能であるか等について、今後も継続して検討する予定である。 なお、国内においては、厚生年金基金及び投資信託等、機関投資家の運用担当者に対して、総会の議決権行使についてのヒアリングを行った。その内容は、今後、まとめて公表する予定であるが、株主提案に対する各種機関投資家の立場の相違が明確になったと考える。また、株主提案を排除する要件が、米国と日本で大きく異なっていることは従来より指摘されるところであったが、米国においては、提案排除事由の多くは改正を重ねており、日本においても、提案排除事由の明確化・詳細化を検討する必要があるとの確信を得た。
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