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2006 年度 実績報告書

フランスにおける会計監査役の民事責任制度の分析

研究課題

研究課題/領域番号 17730080
研究機関早稲田大学

研究代表者

内田 千秋  早稲田大学, 法学学術院, 助手 (40386529)

キーワードフランス / 会計監査役 / フォート / 法定監査 / 民事責任 / 監査証明 / 計算書類の信頼性 / 手段債務
研究概要

1 会計監査役の民事責任上のフォートについて
会計監査役の一般的な任務(監査・証明)の性質は手段債務として理解されており、「同一の状況にある通常程度に注意力がある会計監査役」と当該会計監査役の行動とが比較されたうえで、フォートが判断される。そこで、本研究期間では、不正の事例と誤謬の事例に分類したうえで(不正の事例は、横領の事例と粉飾決算の事例とに分類される)、会計監査役の民事責任に関する判例の検討・分析を行った。横領の事例においては、法定監査の前提となる内部統制の評価を行ったかどうかを重視する傾向が見られ、隠蔽手段の巧拙、横領額の多寡・頻度がフォートの判断要素とされていることが明らかになった。他方、粉飾決算の事例では、隠蔽手段の稚拙・粉飾決算の期間・会社の経営状態などがフォートの判断要素とされていた。また、判例の全体的な検討により、会計監査役の監査は試査を原則とするも(その内容は職業基準により決定される)不正の何らかの端緒が発見された場合には行うべき試査の程度を高めるべきであると判断されてきたことが明らかになった。
このテーマについては、近く「早稲田法学」(早稲田大学紀要)に投稿する予定である。
2 会計監査役の民事責任における損害と因果関係について
本研究期間ではまた、会計監査役の民事責任における損害・因果関係のうち、対株式取得者(株式譲渡・増資引受による)責任に関する裁判例について検討・分析を行った。特に、会計監査役の法定監査による計算書類の信頼性と、買収者側の買収監査(いわゆるデューディリジャンス)の必要性との関係に焦点をあてており、買収者が買収監査を行わなかった場合には、判例が買収者のフォートを認定し因果関係を否定しまたは損害賠償額の減額を行っていること等が明らかになった。このテーマについても、2007年内の投稿を予定している。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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