平成18年度は、本研究に関する法状況の調査対象を、ヨーロッパ諸国へと拡げた。 その結果、近年では、民事紛争の和解的解決を目指して、参照予定にしていたフランスやイタリアに留まらず、ヨーロッパ全般において、各国が法律の改正(改正へ向けた議論)や運用上の工夫を積極的に試みており、その動向が本研究にとって参考に値することが、明らかになった。訴訟上の和解に関する加え、2004年に、ヨーロッパ委員会から「調停に関するヨーロッパ行動規範」、及び、「民事紛争及び商事紛争における調停の側面に関する指令案」が出され、これを受けて、調停制度の整備に関する議論が活発化していることが明らかになった。検討の過程で、最近、例えばオランダにおいて、紛争の和解的解決精度に関して注目すべき活溌な議論があったことが判明したことから、新たな検討対象とした。 また、ドイツにおいて、和解に関する法律改正が行われたことから、新たにそれに関する資料並びに情報の収集を行った。加えて、2002年ドイツ民事訴訟法改正後の新制度の運用が軌道に乗り始め、それに関する評価や新たな問題点の指摘が少しずつ行われはじめた。さらに、裁判外紛争処理制度に関しても、理論と実務の進捗が著しい状況にある。そのため、これらについても、昨年に引き続き最新の文献の収集と分析を行い、さらに現地での調査を実施して情報の収集に努めた。 諸外国の調査と並行して、問題点をさらに明確にして整理するために、国内での情報収集や意見交換も、適宜行った。
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