本年は、まず、主としてわが国の拡大生産者責任に関する法制度(循環型社会形成推進基本法、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、自動車リサイクル法等)の立法過程についての文書、論文等を検討した。また、今年は、容器包装リサイクル法の見直しの年にあたるため、中央環境審議会、産業構造審議会では、事業者責任の拡大、リサイクル制度の合理化等に関する議論が行われており、これをフォローしている(家電リサイクル法の見直しも開始されている)。 第二に、ドイツにおける、環境責任に関する法制度の動向・議論の状況について調べている。この点について、2月には、ドイツ(ミュンヘン、フライブルク)に文献収集、意見交換のために出張した。 第三に、環境法と連続する・あるいは重畳する法領域である警察法における警察責任の分配は、環境責任法のモデルとされ、新たな環境立法の際にも参照されている(例えば土壌汚染対策法)。本年度は、リスク段階で私人に対して規制を行う場合に、それに伴って生じる損害、逸失利益について、誰が負担を負うべきか(当該私人に受忍させるか、あるいは、公共が損失補償という形で負担するべきか)という点について、検討を行った。次年度も引き続きこれを行い、環境法政策学会(6月)においてその成果を発表する予定である。また、近日中に神戸大学法学雑誌において公表する予定である「再訪・O157事件とその周辺-情報提供による危険予防とその帰結」と題する論稿の一部は、この点の分析にあてられている。
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