研究初年度である2005年度は、情報端末の購入をはじめとする研究環境の整備と、基礎的なフィールドワークを実施した。 本年度調査を実施した対象地はいくつかあるが、調査順に示すと、まず1つの自治会が2つの自治体(市)にまたがっている東京都の百草団地自治会(日野市および多摩市)を調査した。次に、新潟市役所の調査を実施した。新潟市は、近い将来に政令指定都市への移行が決定しており、中核市の町内会・自治会政策と政令指定都市の政策比較を行うための調査の前半部分を終了した。次に、岩手県のとくに県南地域を中心に自治体の調査を実施した(花巻市、石鳥谷町、紫波町、北上市など)。岩手県南地域では、町内会・自治会のようなコミュニティ組織と、「行政区」のような行政連絡組織を自覚的に峻別しているため、その運用方法に対する調査を行った。さらに、会津地域を中心とした福島県内の調査を実施した。これは、当初、県内市町村の悉皆調査を今年度実施する予定であったため、その予備調査をするためのものであった。また、「町会連合会」などのコミュニティを束ねる組織が強固な金沢市の調査、4年おきに独自のコミュニティ調査を実施している福岡市、名古屋市、九重町の調査を実施した。 これらの調査の結果は、中間報告的にではあるが、「シンクタンクふくしま」のニューズレターや、新「伊達市」のコミュニティ報告書のなかで発表した(裏面参照)。 なお、予備調査の結果、次の2つの理由のため、今年度の福島県内悉皆調査は見送らざるをえなかった。すなわち、町内会・自治会の運営形態が、予想以上に多様で、作成した調査票でな不備が多いということがわかったためであり、もう一つは「平成の大合併」による市町村の繁忙のためである。 以上を受けて、引き続き、2006年度に調査票調査、フィールドワークなどを実施することとしている。
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