交付2年目にあたる2006年度は、フィールド・ワークを中心に研究活動を行った。昨年度の東北地方調査との対比のために、今年度は西日本を中心に調査した。研究対象地としたのは、香川県高松市、福岡県福岡市、石川県金沢市等々である。加えて、昨年度の調査対象地における、市町村合併後の追跡調査として、岩手県奥州市、同花巻市の調査を実施した。また、九州大学博物館、立教大学図書館において、絵図や昭和期の資料を調査した。 それらの研究の結果、現在の町内会・自治会において、メンバーシップ・構成・空間などを考える際に、明治初年における支配の変容が重要な意味を有しているということがわかった。しかも、その変容は、維新政権の財政確立という、地域社会の編成原理とは相対的に別個の問題に影響されて発生したということが、新しい知見である。 上記の調査をふまえ、3本の論文をまとめた(11.参照)。また、それらの成果をもとに「コミュニティ・自治・歴史研究会」において「明治初年における地域支配の変容」と題する研究発表を行った(2007年2月24日、於東京)。その成果は、同研究会が発行する雑誌『ヘスティアとクリオ』の第5号(2007年5月刊行予定)に掲載されることになっている。
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