本研究最終年度である2007年度は、資料調査・フィールドワークおよび報告書作成のための執筆活動を行った。 フィルドワークとしては、資料収集(立教大学、新潟市役所、金沢市役所、百草団地自治会、秋田市役所)および、他大学研究者との研究交流(茨城大学、慶応大学など)を行った。 こうした調査を受けて得られた知見としては、前年度の調査でも一部明らかになった点であるが、昨今の町内会・自治会の再編や町内会の境界画定などという課題は、「行政区画の論理」と「住民組織の論理」の矛盾として発生してきたということがわかった。つまり、人間関係本意の組織のあり方と、機械的な領域的統治の矛盾をどのように整理するかという形で問題提起されている。また、「構造改革」以降の各種補助金改革とも相まって、「分権改革」下で市町村による町内会・自治会の再編・統合が実施されている現実がある。 今年度に予定されていた、(1)「政教分離」の建前から、神社管理・祭事実施などを別組織で実施していることが果たしている役割、(2)勤倹貯蓄組合が町内会・自治会財政に果たす役割、等々の論点については、時間的都合で結論を発表するに至らなかった。今後の課題としたい。
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