研究課題
本研究は、現代政治哲学における米仏比較を目的とするが、その両国において注目されている思想家アレクシス・トクヴィルをめぐるシンポジウムに研究代表者自ら、企画・実行メンバーとして加わり、ペーパーを発表した(6月)。その内容は、現代米仏における政治哲学の一つの焦点がトクヴィルにあり、トクヴィルをめぐる米仏における解読の違いをさぐることで、両国の現代政治哲学の関心の異同を探ることが可能となるというものであった。分権的であったアメリカにおける新たな政治的集権の問題の焦点にいるのがトクヴィルであれば、同時に、集権的であったフランスにおける新たな分権化の問題の焦点にいるのもトクヴィルであった。このことはトクヴィルの持つ同義性をよく示すとともに、米仏における政治哲学の方向性の違いを照射していると言える。その後、たまたま他の団体(日仏会館)の資金でフランス出張が可能になったため(9月に訪仏)、本補助金によって2月にアメリカへの出張を行った。これによって両国における政治哲学の現状についての最新の知見が得られたほか、両国の研究者とのネットワーク構築を進めることができた。また、両国における政治哲学の成果をもとに、これを日本の政策的課題と結びつけて考察する作業の一貫として、主にフランス政治哲学における社会民主主義論について紹介し、日本における社会民主主義の課題を探る論文を発表した。今後さらに、米仏の政治哲学の視点から、現代日本に関する考察を進める予定であり、現在その準備作業を行っている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
生活経済政策 100
ページ: 24-25
Proceedings of the International Conference Celebrating the Bicentenary of the Birth of Alexis de Tocqueville
ページ: 1-17