本研究では、天下りまで含めた高級官僚(退職時に局部長以上)のキャリアパスを全省庁にわたって調査し、官僚のインセンティブ構造を解明、各省庁の特徴を類型化し、政策決定・施行へのインプリケーションを分析することを目的とし、2001年1月の中央省庁再編のインパクトにも注目しつつ各省庁の戦後期におけるキャリアパス・天下りの解明を進めてきた。高級官僚のキャリアパスが官庁の選好や優先課題を反映しているものと捉え、官庁とその環境の間の相互作用を重視する視点からの研究は、既に郵政省や自治省(また総務省)について以前に予備的な調査を行なっており、この研究方法を最終的には全省庁対象に実施するべく本格調査を開始した。 平成17年度における研究活動では、退職時に本省局長・部長(内閣官房室長を含む)クラス以上まで昇進した高級官僚の官庁内でのキャリアパスと天下りパターンを、自治省、総理府、総務庁、内閣官房を中心に着手した。秦郁彦『日本官僚制総合事典1868-2000』、『人事興信録』などの資料・事典を精査し、データの収集、整理を行った。また比較研究の観点から、日本同様に一党優位制が長く続いたメキシコについて調査し、メキシコシティーの国立図書館などにおいて資料を閲覧し、さらにはCarlos Uscanga氏(UNAM)、Jose Luis Leon氏(UAM)ら研究者たちと意見交換を行った。 従って、本年度の研究経費としては、データ記録・整理のための小型ノートブック・パソコン、スキャナー、図書、ソフトウェアなどの設備備品費・消耗品費、研究補助のための謝金、日墨比較のための調査・研究の外国旅費が主なものとなった。
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