本年度は研究の初年であった。そのため、基礎的な研究を進めることを主眼に据えた。書籍の購入、スキャナーの導入などを行い、それを通じて研究所・論文や資料を収集した。国際金属労連日本協議会(IMF-JC)の協力を得ることができたのが大きい。これにより、若干の遺漏はあるが、大筋で研究全体の主要なデータをそろえることができたと思う。 とりわけ重要だったのは、次年度に予定していたのを繰り上げて、3月にアメリカに資料収集に赴き、ウィスコンシン歴史協会で資料を閲覧・複写したことである。これにより、占領期の対日労働政策を知ることができ、それ以前の研究での資料収集とあわせて、アメリカの主要な一次資料を集めることができた。 具体的な成果としては、研究の概略を示す論文を執筆した。坂野潤治・新藤宗幸・小林正弥編『憲政の政治学』(東京大学出版会、2006年1月)に収録された「冷戦期アメリカの対日労働政策」である。これは30ページ弱の小論ではあるが、この分野の最初の本格的な研究成果として、注目を集められるのではないかと期待している。これを土台として、次年度には、単著書の執筆を進めて行く予定である。
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