本研究課題の研究期間2年目として、初年度の研究を踏まえ、主として以下の二段階を実施した 1.各国の行政経営手法の分析 対象諸国で最近になって実施されるようになった、あるいは実験の途上である行政経営の手法について分析する。特にイタリアおよびドイツを中心に、顕著な政策、実験の事例研究を行う。 2.EU、多国籍企業、NGoなどが欧州各国の政策に与える影響の分析 EUの政治的・経済的統合へのアジェンダが各国の政策に大きな影響を与えた経済・財政政策、市場における諸規制などを分析する。またプライベート・セクターの戦略や活動が各国の政策に大きな影響を与えた事例を分析する。大規模な許認可に際して問題となった多国籍企業とパブリック・セクターとの関係、民営化によって誕生する寡占的、独占的な私企業について事例分析を行う。 18年度は、イタリア、ドイツを中心として資料収集、関連機関ヒアリング等を実施した。イタリアについては中央省庁(内務省、内閣府、経済財政省)の他、行政高等学院、地方行政高等学院、地方自治体関係諸団体、地方出先機関、シチリア州、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州などの特別州をはじめ、トレント県、ボルツァーノ県などの自治県においてヒアリング、実態調査を行った。日本については中央省庁(総務省、財務省)の他、熊本県、仙台市その他の地方自治体でのヒアリング、実態調査を行った。ドイツについてはブランデンブルグ、ベルリン等へのヒアリング、資料収集を行った。これらの成果については、国際学会にて5回の口頭発表を行った。 これらはいずれも加筆修正ののち、一部は既に18年秋にスロベニアで刊行された書籍に分担執筆分として掲載された。邦文としては、年度内には論文1本、報告書2本にまとめた。報告書のうち2本は加筆修正ののち、19年度に論文としても発表される。
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