平成17年度は本研究の初年度に当たり、研究基盤の整備と資料収集を行うと共に、これまでの研究成果を公表することで、今後の研究方針の確立を目指すことを主たる目的とした。第一の研究基盤整備については、ソフトウェアの整備やデータ・ベースの構築を行い、今後の研究の土台を固めることが出来たと考えている。第二の資料収集については、国内外の図書館・資料館への出張と資料収集を行い、基礎となる資料の入手に勤めた。特にウィーンにおけるワークショップとパリにおけるフランス外務省・経済財政産業省での資料収集は、複雑なEUにおける各国ごとの輸出管理体制の実施状況を理解する上で重要な意義を持った調査となった。第三の既存研究の報告等については、明治大学での政治学会、札幌コンベンションセンターでの国際政治学会、福岡マリンメッセと福岡コンベンションセンターでの国際宇宙会議で報告を行い、有益なフィードバックを得ることができた。 これらの調査と研究発表を通じて得られた知見を踏まえ、2006年3月には安全保障貿易学会において、輸出管理問題の専門家を前に、一年間の研究成果を報告し、有意義なコメントを得ることが出来た。また、本研究を学界の専門家だけでなく、実際に輸出管理の実務に携わる実務家との協力関係を得ることで、より一層研究の充実が図られると共に、本研究が社会に対する貢献としても大きな価値があることが評価されることとなり、研究と実務の相乗効果が生み出されている実感を得た。
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