平成19年度は、本研究のまとめの時期に当たり、学会報告ならびに形で研究成果を発信することを中心とした。5月にモントリオールで開催された全米ヨーロッパ研究学会(EUSA)において、輸出管理体制がEUの拡大によって変化していくプロセスを独自の分析枠組みを用いた研究発表を行った。また、7月には国際文化会館で米国、アジア諸国からの専門家を交えたワークショップにて研究報告を行った。さらに11月にはワシントンDCにおいて、米国政府関係者や企業関係者ならびに国連安保理1540委員会(輸出管理委員会)のスタッフなどに研究報告を行い、その後プリンストン大学のグローバル安全保障と化学技術研究所において、同様の報告を行った。また、1月には、ジョージワシントン大学のワークショップで宇宙機器の輸出管理に関する報告を行い、同様の報告を米国議会下院の科学技術小委員会の勉強会にて報告した。 これらの活動で得たフィードバックを出版にも活かしている。中央大学から出された『科学技術の公共政策』で輸出管理に関わる議論を展開し、また東京大学から出された英文の報告書であるSecurity Trade Control in Asiaにも論文を寄稿した。国際的な学会報告や英文での出版を通じ、本研究の国際的な発信し、日本における輸出管理研究の水準を示すことが出来たと同時に、本研究国際的な認知度が高まった(たとえば、国連安保理の1540委員会の委員長宛に報告書を送る要請があった)ことから、本研究の目的を一定程度達成することが出来たのではないかと自負している。
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