研究計画の2年度目に当たる平成18年度は、これまでの研究成果の学術雑誌への投稿や学会・セミナーなどでの発表および文献調査・情報収集を中心に研究を進めた。本研究課題の目標の一つは、動学的整合性を満たすナイト流不確実性下の選好の公理化であったが、昨年度までに得られた繰り返し期待値の公式の研究の成果に基づき、本年度は確率容量が確率測度の変形で表されるようなショケ期待効用を2段階くじ(行動)上の選好で公理化できることを示した。この結果は今後Econometric Society European Meetingをはじめとして国際学会・セミナーなどで報告する予定であり、得られたコメントを元に改訂を行ったのち、学術雑誌への投稿を行う予定である。また、論文「moderation premiums」をトリノ大学のミクロ経済学セミナーで報告し、得られたコメントを元に改訂を進めた。この研究は、Machina(1982)のconditional certainty equivalentを用いたリスク回避の特徴づけとして改訂を進める予定である。さらに、客員研究員として現在滞在中のプリンストン大学では、研究内容について現地の研究者と意見交換をしたほか、セミナーなどで経済学や行動経済学など関連分野の最新の研究動向について情報収集を行った。プリンストン大学では、実験経済学的手法の研究課題への適用可能性について検討も行った。
|