私のコロンビア大学での博士論文の中から生まれた「個々人の多次元の才能を持った経済主体が職業選択できる一般均衡貿易モデル」の分析をさらに推し進め、その応用が2本の論文となった。1本目の国際貿易によるパレート改善への応用についてである。こちらの論文では、貿易自由化後の弱者の補償制度がうまくいかない理由を、職業選択モデルを用いて説明している。こちらは、American Economic Reviewに投稿(reject)、Economic Journalに投稿(reject)、Quarterly Journal of Economicsに投稿(reject)となった。現在修正を加えて、Journal of International Economicsへの投稿に向けて準備中である。この際、もともとの論文が50ページと長めであったために、35ページ以内に収まるようにモデル等のセットアップも変えながら、大幅な修正を加えている。2本目の人的資本投資への応用であるが、「生まれつき才能が差のある個人は特化型の人的資本投資と、ジェネラリスト志向のどちらを好むか」を分析した。こちらの論文は、2006年9月にウィーンで開かれたEuropean Trade Study Group学会などの国際学会にて発表を行い、現在学術雑誌に投稿するためのrevision中である。この論文は、2007年7月の上海におけるAsia Pacific Trade Seminarにて再度研究報告発表予定である。また、現在それらの論文を基にして、これまでの関連先行研究のサーベイを含めた日本語による書籍を、三菱経済研究所から2007年度に刊行予定で、執筆中である。
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